事故の概要
とある駐車場で駐車スペースを探して徐行中、突然バックしてきた車にぶつけられた話。
事故の概要としては以下の通り。
- ぶつかる前、双方向かい合う形で駐車スペースを探して徐行していた。
- 通路にすれ違うスペースが余り無かったので、十字路付近にいたこちらが相手の車が他の方向に移動するのを待つために停止した。
- 相手が右折したので、相手の後ろを通り抜ける形で車を発進させたところ、突然相手の車が停止して、間もなくバックを始めた。
- ビックリしてこちらもすぐ停車したが、予想外の出来事に回避行動をとることができず、結果左フェンダーに衝突された。
この後、双方車を降りて状況を確認し、現場が駐車場入り口付近であったため車を移動した。
- [1]の段階では双方相手の車を認識していたが、[3]で相手がバックを開始した段階で、相手はこちらに気づいていなかった。
- 後の警察による実況見分で、相手も「自分の不注意で見落としていた」と証言しており、また車の位置関係からも相手のサイドミラーにはこちらが見える状態であったことは明らか。
- 相手の後ろバンパーにこちらのタイヤの模様がハッキリ残っており、衝突時点でこちらが停止状態であったことは明らか。
実況見分の後は、お互い連絡先を交換して別れた。
正直言って、今回の事故自体には怒りなどは感じていないので、それだけなら記録を残す必要もないのだが、相手保険会社の対応が酷すぎたので、今後の為に残しておく。
保険会社とのやり取り
やり取りの様子をとっておいたメモを元に、概ね事実に沿った形でダラダラ記述したが、一部改編もしているので(もしいたら)読者はあくまで参考として受け取ること。
事故の翌日、相手保険会社の担当者から連絡があったのだが、最初から喧嘩売ってる態度だった。
開口一番「先日の事故の件ですが、あなたにも過失がありますので、そちらの保険会社の担当の方に連絡してください」
どういう過失があるのかすら説明なくコレ。
まったく予想していない回答に「…話が見えないのですが?」と聞くと、双方が走行中に接触したから双方に過失があるとの事。「こちらは停止していましたが?」と問うと「衝突直前の停止で、停止とは認められない」とのこと。意味が分からない。とりあえず、「こちらの保険会社に相談します」とだけ伝え通話終了。
その後、こちらの保険会社に連絡して事情を説明したところ、「お客様に過失があるとは思えない。直前停止も理由にならない。」との事。加えて、こちらが過失を認めないのであれば担当は付けられない、ということで自分で相手保険会社とやりあうことになった。
後で調べると、こういった交通事故での過失の有無の争いは「非弁行為」にあたる可能性があるため、保険会社は対応してくれないのが普通のようで、自分で対応することができないなら、弁護士を雇うことになる。大抵の自動車保険にある「弁護士費用特約」はこの時役に立つ。
自分から相手担当者に連絡を入れて、事故の状況を説明しなおし、直前停止についても「状況が状況なので正確ではないと思うが、20秒程度の時間があった」旨を伝えたが、主張を変えないどころか「(時間があったのに)クラクションを鳴らさなかった事が過失」など言い始める。更に、事故の状況を説明した際、相手担当者は事故の状況どころか車の位置関係や動きすら把握していなかったことが判明したため「無責任さ」を指摘するも主張を変えず、過失割合は7:3か8:2という。(当然相手が7か8)
この時は、初めての示談交渉で相場も分からず、法律にも疎く、理不尽に思いながらも「相手はプロ」という負い目がある中、「検討します」とだけ伝えて通話を終了するのがやっとだった。
改めて、こちらの保険会社に相談(直接交渉はしてもらえないが相談役は付けて貰える)したところ、クラクションを鳴らさなかった事は過失にならないし、それは単なる逆ギレである。と至極真っ当な意見を言われる。相手担当者との電話中には頭に血が上っていて気が付かなかった…。加えて「実況見分で相手が気付いていなかったと証言しているのだから、そちらで全部持ってもらいたい。最悪弁護士立てる。と伝えてはどうか」とアドバイスをもらう。
再度相手担当者に電話するも、外出中で直帰の予定とのことだったので、この日のやり取りは終了。長い一日だった。
翌日
相手担当者とのやり取りでは、特に不満があった以下の2点について質問した。
- 車の位置関係を正確に把握していなかったのに、最初からこちらに過失があるとなぜ断言できるのか
→曖昧ながら「駐車場内の事故なので…」と回答。 - クラクションを鳴らさなかった事が過失になる法的根拠はなにか。
→あくまで、周りに車がいるのに注意を怠ったという点を過失があると言った。クラクションを鳴らさなかった事が過失になると言ったつもりはないと主張。昨日の時点でそのような発言はなかったため、「昨日の発言と矛盾するではないか」と応戦したが、しどろもどろになりながらも慎重に単語を区切り区切りそうではないと言い張る。通話は録音していなかったので、それ以上の追及は行わなかった。
当然納得のいく回答ではないため、弁護士を立てることも検討している旨を伝えたところ、「どうしても過失を認められないというなら、弁護士を立てて過失がない証拠を示したらいいんじゃないですか?」などと他人事口調で一歩も引く気がない対応をされる。
実際訴えるとなると、訴訟相手は事故を起こした張本人になるので、他人事なのは違いないが、弁護士特約を付けていれば訴訟費用は保険会社持ちになると思うのだが…こちらが提訴しないと見越したハッタリなのか、そこまで考えが及ばないのか…ともかく、この時点でらちが明かないと感じたので、通話を終了した。
なおこの通話で初めて、こちらにも過失があると"言いがかり"を付けてきているのが相手運転手ではなく担当者であることが判明。相手運転手は現在こちらと担当者間で交渉がこじれている事すら知らされていなかった。 事故当時に会ったきりの相手運転手の印象からすると、このような言いがかりを付けてくるようには思っていなかったのでずっと疑問に思っていたが、ここで相手がハッキリしたことで対策が立てられるようになった。
通話終了後、ふと考えて再度相手担当者に連絡を入れ、双方具体的な修理費を提示して、過失割合以前に全体でいくらかかるのか費用を算出したいと伝えたところ、相手運転手にも伝えると回答を得た。
その後
見積もりを依頼したディーラーさんから聞いた話をヒントに、最悪自分で法廷に立つつもりで物損事故に関する事例や法律を一週間程度調べまくり、これまでの相手の嘘や間違いを指摘したうえで相手担当者にこちらから示談条件を提示した。
「こちらの過失は一切認めません、ですがこちらの修理費については全額請求しなくてもいいと考えています」「ではいくらですか?」「95…90%、9割払っていただければ示談書にサインします。過失割合でいえば0:9という言い方になります」
「(相手運転手に)その様に伝えます。」ということだったので、こちらから「●日までに回答してください」と相手の了承を得たうえで期限を切った。
相手担当者からはその期限より早い段階で「こちらの了承が得られたので、示談書を作成して送ります」返答があった。
送られてきた示談書にサインして一部返送。その一週間後くらいに振り込みを確認した。
事故から振り込みまで、丁度一か月掛かった。
今回の教訓
今回は客観的な証拠がなかったので、訴訟を起こしても0:10をとれる確証がなかった事や、判決がでるまでにかかる手間や時間、訴訟にかかる費用で相手に負担させられない分の費用を考えたら、自分の分を1割程度(約\14k)負担する方が軽いと判断したので、全額請求しないで話を付けることにした。
なお0:9ですんなり話がまとまったのは、前例があるからだと思われる。
実際、ディーラーさんから聞いた話やインターネットで調べた話は今回と似た状況の事故で、どちらもぶつけた側が9割という結果になっている。
駐車場内での事故だとしても、停止中の車への衝突はぶつけた側が9割負担になることはほぼ確定なんだろう。※7:3だの8:2だのという割合は、どちらも動いていて片方が不注意で相手を見ていなかった場合の割合で、駐車スペースでエンジンを切っている場合や運転手が車を降りている場合はぶつけた側が10割になる。
自己負担分が発生したものの、色々勉強になったのでよしとする。
最後に、今回学んだことをまとめる。
- 事故の状況は、第三者に証明可能な形で残しておく。当事者同士では問題なくても保険屋が絡んだ段階でこじれる可能性がある。すべてを記録できるわけじゃないがドライブレコーダは付けた方がいい。
- 保険会社の担当者も、法律に関しては素人。同じ土俵にいるので慌てず落ち着いて対応する。
- 相手は逃れるためなら平気で嘘を付くし無責任な発言や間違い、軽い脅迫もする。それらを指摘しても証拠がない限り認めないので、通話は録音できるようにしておくか、時間がかかっても書面での対応を行う。
- 保険屋が提示する示談金は相場よりもだいぶ低い。過失割合もこちらが圧倒的に損をする割合を提示してくるので、信用できる代理人が立てられないなら、自分でしっかり調べて交渉する。※ただし過失割合については全く当てずっぽうという訳ではなく判例タイムズといった判例集から引用している場合があるので、そういったものの引用が見られる場合、話し合いの根拠としてコピーを送ってもらうことも検討する。
- 過失割合は双方合わせて100%になる必要はない。今回の件で言えば、こちらには過失がないということで当初は過失割合0:10を主張していたが、後の調べで0:9という形も取れる事が分かったので、修理費用は全額請求しないという方針で進めた。
- 物損事故と人身事故とでは適用される法律が異なる。今回のような双方運転手のみが車に乗っていて怪我もしていない物損事故は民法第709条が適用となり、被害者側が加害者側に損害賠償請求を行う形になるが、その際証明する必要があるのは相手の過失のみで、自分に過失がなかったとことを証明する必要はない。※相手がこちらに対して過失があると主張して偽証した場合、それが偽証であると証明する必要はある。なお人身事故の場合は、民法ではなく自動車損害賠償保障法が適用される。自動車損害賠償保障法では加害者が自分で自身の無過失を証明する必要がある。
あまり知られていないのですが運転者には予見義務と回避義務があります。約20秒停止していたのであればクラクションを鳴らすか当たらない場所に車を移動すれば事故を防げた可能性大です。
ゼロ主張の気持ちは分かりますが今回の事故形態ではあなたにも過失が出てくるのが一般的です。
相手損保は基本過失70:30を示談優先で2割修正して90:10ですね。相手は損害賠償請求放棄して責任額(過失割合ではないです)は90:0で示談和解ですね。
私は10:0主張ですが
9:0というのもあるのですね
勉強になりました。ありがとうございます。